溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を
話しをしながらの食事だったので、時間がかかってしまったけれど、2人は完食をして食後のコーヒーを飲んでいる時だった。
「もう1つ質問してもいいですか?」
「えぇ。でも、他に聞きたいことなどあるんですか?」
「もちろん。まだまだ話足りないですが……1番聞きたい事があるんです」
「何でしょうか?」
風香は彼がまた楽しい話しを続けてくれるのだろうと思い、ワクワクしながら笑顔で彼の質問を待った。すると、先ほどと一転して柊の顔からスッと笑みが無くなった。
「最近、辛いことでもありましたか?」
「え………ど、どうして………」
思いもよらない言葉に、風香は驚き目を大きくしてしまう。柊と目が合い、咄嗟に視線を逸らす。何も答えられずにいると、柊は言葉を続けた。
「ホテルのエレベーターホールで初めて会った時に、風香さんの目が少し赤いのに気づきました。それに………時々悲しそうな顔をしながら俺の事見てます。泣きそうなぐらいに」
「…………そんな事は………」
「もしかして、俺と似てる人と何があったんですか?同じような顔だから会いたくのかなって思ってました」
「そ、それは違いますっ!」
彼の言葉に慌てて声を出してしまう。
店の中だと忘れ、思ったよりも大きな声になってしまい、ハッとする。目の前の柊も少し驚いた顔をしていた。