溺愛婚約者と秘密の約束と甘い媚薬を



 「………じゃあ、よかったら……柊さんのおうちに行ってみたいかな……」
 「え……そんな事でいいの?」
 「うん。柊さんの部屋に行ってみたい」
 「わかった。じゃあ、俺の部屋で風香ちゃんの誕生日をお祝いしよう。それまで、部屋を綺麗にしておかなきゃね」


 柊は躊躇うことなく、承諾をしてくれた。


 風香が柊の部屋に行ってみたい理由はいろいろある。
 彼が以前と同じ部屋に住んでいるのか。そして、同じ場所だとしたら、風香の荷物はどうしているのか。
 そして、部屋の中に彼が行方不明の間に何があったのかを知れるヒントはないか。
 メモリーロスが置いていないか。


 自分の考えに勘づく事がない柊を見て風香らホッとしていると、急に風香の体が後ろに倒れ込んだ。


 「えっ…………」


 背中にソファの柔らかい感触と、顔に影がかかり目の前に彼の綺麗な顔が近づいていたのだ。



< 59 / 209 >

この作品をシェア

pagetop