もう一度だけ、キミに逢いたい。

わたし、最初は伊織くんに借りもあったしで、あんまり何も考えないで放課後会うのオッケーしたけど。


正直会うの嫌だったんだよ?


相手はわたしのこと本気で好きなのに、わたしは絶対にその気持ちには応えられなくて、ちょっと気まずかったし。


光ちゃん以外の人と必要以上に関わるのも嫌だったから。




……でも、時が経つごとに伊織くんと過ごす時間を当たり前と捉えている自分がいた。


伊織くんは優しいから、もしわたしがもう会いたくないと言えば、悲しい顔はしても、絶対に頷いてくれるってことも分かってた。


それでも、わたしの頭の中には伊織くんと一緒にいるのをやめるっていう選択肢はなかったんだよ?




たとえ、キミが“本当のわたし”を受け入れてくれないかもしれなくても……


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