もう一度だけ、キミに逢いたい。

彼の口ぶりじゃまるで……前々からわたしのことを知っていたみたい……


もしかして……わたし、彼と会ったことがある……?


いや、まさか……っ


……ううん、そんなことあるわけがない。




わたしはじっと彼の顔を見つめる。


「…ん?どうした?」


「いや…人間嫌いだって見破られたのは初めてだなって思って」


「……ゆりのことなら分かるに決まってる」




……なに、それ。

ウソだ……


絶対に絶対にないと思うけど、もしわたしとキミが昔、どこかで出逢っていたとしても。


キミに、わたしのことなんて分かるわけない。


そんなこと、本当のわたしを知らないから言えるんだっ……




わたしを好きだから…わたしをずっと見ていたから、わたしのことを分かると思っているなら、勘違いもいいところだ。

< 50 / 471 >

この作品をシェア

pagetop