東京血風録3 キラーズ・コード【改編版】
東京で4人の仲間と逢った時、奇妙だったのはこれか。
仲間と言っても、いつも一緒に行動している訳ではない。
息を潜めながら、生活をしている中で念波による連絡を取っていて、顔を知らぬ者もいたのだ。
しかし、その中に人間が混じっていたとは。自分の落ち度とそんな事に気づかなかった後悔により、愕然とした。
念波を盗聴された?
人間にそんな事が出来るのか?
色んな疑問もあったが、向かって来る敵は殲滅する。
闘うことを決めた。


藤堂飛鳥は動揺した。
摂津の昔話に、急に祖父の名前が出て来たからである。
こんな所で急に、過去に摂津との接点が出来るとは。そして、そんな事があったなんて。知る由も無かった。


昔話は続く。
奈良から逃げて来た鬼は、京都からの鬼と合流したが、京都からの鬼は駆逐されてしまった。
奈良と京都それぞれから、別の陰陽師に追われていた。
なので、今は2人の陰陽師に追われていた。
場所は、愛知また来ていたのだ。
なんとか、摂津様に逢いたい一心だった。念波の届き方で、近くまで来ているのは分かっていたので、なんとか合流したかった。


摂津秋房、この時齢150。
力と知略と戦況判断。
若造に負ける気がしなかった。
最大10本まで増やせる腕は6本出した。数は増やせば増やすほど、力は分散され精度も悪くなる。6本の腕で力任せに薙ぎ払っていったが、弾力がある気の塊を叩いているようで、全くダメージを与える事が出来なかった。
藤堂流反発式の為せる技である。
摂津は、人との体力の違いを熟知していた。壊せぬのなら時間をかけて壊すのみ。
6本の腕による、淡々とした全体からの波状攻撃は、じわじわと防御の隙を突いて藤堂の体に傷をつけた。血が滲む。
防御に精一杯で、反撃の糸口が掴めなかった。
このままではどうしようもないと思い、術を解いて前へ出ようとしたその時、男が前へ飛び出して来た。






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