人格矯正メロディ
☆☆☆
初めて乗る高級車の乗り心地は最高だった。
なんていう車種なのかわからないが、ほとんど揺れを感じなかった。
運転してくれているのは60代くらいの男性で、テレビで見るのを同じような白い手袋をはめている。
「香澄って本当にお嬢様なんだねぇ。こんな車で送り迎えしてもらうなんてさぁ」
あたしが嫌味を込めた声色で言うと、香澄はひきつった笑みを返してきた。
「そういえば香澄って今なにしてるの? やっぱりただの引きこもり?」
「今は……療養中で……。だから一人で外出も、本当はしたくない」
香澄は震える声で言って自分の体を抱きしめた。
カウンセリングでも受けているのだろうか。
「そっかー大変だね」
あたしは他人事のように返す。
外出が嫌でも、こうして甲斐甲斐しく送り迎えがついているのだからなにも問題はないはずだ。
それなのに被害者ぶった態度を取られるのがムカついた。
「ちょっとそこで止めて。このお店に入ろうよ」
あたしが誘ったのは駅前の大型デパートだった。
初めて乗る高級車の乗り心地は最高だった。
なんていう車種なのかわからないが、ほとんど揺れを感じなかった。
運転してくれているのは60代くらいの男性で、テレビで見るのを同じような白い手袋をはめている。
「香澄って本当にお嬢様なんだねぇ。こんな車で送り迎えしてもらうなんてさぁ」
あたしが嫌味を込めた声色で言うと、香澄はひきつった笑みを返してきた。
「そういえば香澄って今なにしてるの? やっぱりただの引きこもり?」
「今は……療養中で……。だから一人で外出も、本当はしたくない」
香澄は震える声で言って自分の体を抱きしめた。
カウンセリングでも受けているのだろうか。
「そっかー大変だね」
あたしは他人事のように返す。
外出が嫌でも、こうして甲斐甲斐しく送り迎えがついているのだからなにも問題はないはずだ。
それなのに被害者ぶった態度を取られるのがムカついた。
「ちょっとそこで止めて。このお店に入ろうよ」
あたしが誘ったのは駅前の大型デパートだった。