人格矯正メロディ
☆☆☆

「お前、なに笑ってたんだよ」


それは海の部屋に招き入れられて開口一番だった。


「え?」


あたしは聞き返しながら、テーブルの前に座る。


ここがいつものあたしの定位置だ。


海はテーブルの向かい側に座ることが多い。


「家に来たとき、ニヤニヤしてただろ」


そう言われてあたしは軽く息を吐きだした。


玄関先でついニヤついてしまったところを、見られていたみたいだ。


「別になんでもないよ」


見られていたことに多少の恥ずかしさを感じて、あたしはほほ笑んだ。


でも、それが海にとっての地雷だったみたいだ。


海は突然あたしの胸倉を掴み、引き立たせたのだ。


突然のことでなんの抵抗もできずやられるがままになるあたし。
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