人格矯正メロディ
☆☆☆

「珍しく彼氏と一緒に登校してたね」


教室に入ってすぐコトハがそう声をかけてきた。


「うん。昨日ちょっと色々あって、心配してくれたみたい」


「そうなんだ? そういえば昨日保健室にいたよね。なにがあったの?」


その質問には答えられなかった。


コトハはきっと黙っていないだろう。


それにあんな出来事、友人のコトハにも知られたくはなかった。


教室内を見回してみると、まだ三好君と明智君は来ていないようだ。


でも、あの2人の姿を見るとどうなってしまうか……。


「ごめん、ちょっとトイレに行ってくるね」


気分を変えるために席を立ち、1人でトイレに向かう。


あの2人が来たってあたしには関係ない。


存在を無視していればいいんだ。


個室に入り、自分にそう言い聞かせる。


昨日あんなことがあったのだから、もしかしたら2人はこないかもしれない。


ブツブツと呟いていると、途端に個室の外から声が聞こえて来た。


「この中からなんか声が聞こえて来るんだけどぉ!」


それは香澄の声であたしはハッと息を飲んだ。
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