人格矯正メロディ
「香澄、持って来た?」


ファミレスに入り声をかけながら向かい側の席に座る。


あたしの顔を見た瞬間香澄は怯えたように体を震わせた。


「も、持ってきたよ……」


そう答えて慌ただしく白いバッグを開く。


中から出て来たのは茶封筒だった。


手に持っていると結構な分厚さがあり、ズッシリと重たい。


あたしは自然と頬を緩めてほほ笑んでいた。


「それなに?」


横からコトハが聞いて来たので封筒を開き、中身を少しだけ見せてやった。


そこに入っていたのは札束だったのだ。


1万円札が30枚ほど入っている。


「これって……!」


コトハがそう言い、絶句してしまっている。


「い、慰謝料です」


そう言ったのは香澄だった。


「慰謝料?」


コトハがあたしへ向けてそう聞いて来た。
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