不器用オオカミとひみつの同居生活。
「こんな子がよく一人暮らしなんてできるよ。
今月の分は送ってくれてるの?」
「うん、通帳見たら入ってた」
「ちゃんと生活できてる?QOLは?
もし困ってるならいつでも言ってよ。
カヤって身体弱いから、いつか誰にも気付かれないまま冷たくなってそうで怖いんだよ」
想像力が豊かなすうちゃん。
これだけ心配してくれているすうちゃんにも、私のおうち事情は話していなかった。
ただ『学校が近くて、一人暮らしに憧れてたから』とだけ説明してある。
あながち間違いではないんだけどね。
学校が近いのは嬉しいし、一人暮らしにも憧れがあった。
だから今の生活はわりと気に入っている。
そこから話題はA高のことに変わっていった。
今は2月。
私たちはまだ入学して1年も経ってない。
普通科、商業科、家政科などクラスの多いA高は生徒数も多くて。
私とすうちゃんのいる普通科だけでも5クラスはある。
家政科に可愛い子がいるらしいよとか、
商業科のあの人がまた告白されたらしいよとか。
毎日のように入ってくる名前は、話すたびにコロコロ変わる。