恋人のフリはもう嫌です

「その点もこちらに」

 資料をもう一枚お渡しして、透哉さんが補足説明をする。

「製品だけの注文の場合は、中間マージンをいただきません」

「そんなうまい話があるわけない」

 完全に信用していない顔つきで、松本さんは腕組みをして言った。

「うまいもなにも。注文から製品の納品まで、システム構築しましたら一度も私たちは関わりませんから」

「そうか。発送はうちでしたね。しかしそれではキタガワさんの旨みは。まさかボランティアというわけでは、ありませんよね」

 透哉さんは、もう一枚の資料を二人にお渡しした。
 ここからが大詰めだ。
 私はドキドキしながら、透哉さんの話をお二人と一緒に聞いた。
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