泡沫の記憶

入学式


駅で会って
なんとなく3人で学校に向かった



瀬倉も、咲田も、変わらない



どぉしても意識してしまう自分がいた



「ふたりとも部活入るの?」



咲田が聞いてきた



「んー、見学してから決める」



瀬倉が答えた



オレと瀬倉は中学ではサッカー部だった



「サッカーしないの?」



咲田が聞いた



「他にも違うことしてみたいし」



瀬倉は器用でわりと何でもそつなくこなした



たぶん勉強もスポーツも

そんなに頑張らなくてもできるタイプ



そんな瀬倉が羨ましかったし

男のオレから見てもかっこよかった



「オマエは?
またサッカーやる?」



瀬倉がオレに聞いてきた



「んー、他に…って、オレできなそうだし
サッカーやらないなら
オレ、帰宅部かも
勉強もついていけるか不安だし…」



「そっか…
咲田は?
部活、やるの?」



瀬倉が咲田に聞いた



オレはふたりのやり取りにドキドキした


なんだろう…


ふたりが普通に話すことができるのか
心配だった



「まだ、わかんないけど
マネージャーやろうかな…」



「へー、何部の?」



瀬倉が聞いた



「んー、サッカー‥とか…
まだ、わかんないけどね…」



咲田は髪を耳に掛けながら話した



中学は校則で髪を結んでたけど
咲田って髪綺麗だな…


背中まで伸びた髪は
光に当たって薄茶に見えた


風でなびいて
咲田が髪を手で押さえた


かわいい…
オレは見惚れてた



「サッカー部、いんじゃね
日焼けするけどな」



「あー、ねぇ…
日焼けするよね!」



普通に話してるふたりがいた

中学の時と変わらない




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