泡沫の記憶

トントン…



「朱夏…いるの?
朱夏…」



「うん、今日は休みなの」



ドアの向こうで朱夏の声がした



「じゃあ、一緒に…」



ドアを開けた



「あ!ごめん…」



すぐにドアを閉めた



朱夏が着替えようとしてたから



「ごめん、急に開けて…
着替えてたって思わなくて…
あ、一緒に出掛ける?
パスタ食べに行くんだけど
美味しいパスタなんだ
朱夏もたぶん好きだと思うから…」



「ふたりで行ってきて…
私は大丈夫だから」



ドアの向こうから聞こえた


また心配になった



「じゃあ…なるべく早く帰ってくる」



朱夏の返事はなかった



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