泡沫の記憶

「キミ、好きな人できたんだ…初耳」



「うん、誰にも言ってなかったもん」



「まぁ、オレにも関係ないけどね…
…
じゃあ…
なるべく早くアパート探せよ!
こんなオジサンだけど
相手に変に誤解されてもヤダし…
…
ありがと、今まで…
飯、うまかった
あの時、キミ拾って良かったわ」



「オジサン…
いっぱい助けてくれて、ありがと…
…
私、ひとりだったら…
どぉなってたかな…
…
あの時、オジサンに拾われてなかったら
家族にも一生会えなかったかも…
…
ちゃんとした恋愛もできなくて
今頃、適当な人と適当に遊んでたかも…
…
オジサンに会えて、よかった…」



「ハイ…ティッシュ…
…
また、胸貸したいけど…
好きなヤツいるなら
もぉ貸さない」



オジサンに差し出されたティッシュを

私は受け取らなかった



叔父さんの胸にしがみついた



「あーぁ…
このスウェット、買ったばっかなのに…」



オジサンはそう言ったけど

私の頭を撫でてくれた



また猫みたいって

思ってる?



「オジサン…
助けてくれたお礼…
…いいよ…しても…」



私はね

猫じゃなくて女だよ



オジサンは男だよ

オジサンも言ったよね?



「何言ってんの?
相変わらずバカだな、キミって…
好きな人できたんだろ」



「うん…
…
こーゆーの
ちゃんと好きな人とした方がいいよ
そう言ったの、オジサンだよね?」



「あぁ、言ったね
ちゃんと、憶えてんじゃん!」



「うん、憶えてる
…
だから…」



「だから、好きな人と…」



「うん…
だから…
…
好きだよ、私
オジサンのこと、好きだよ」



「は…?マジで言ってんの?」



「うん
…
オジサンは私のこと
好きじゃないかもしれないけど…
…
今彼女いないなら
いいじゃん別に…
…
私と、やっても…
私のこと、抱いてくれても…」



「キミさ…
…
あー…ヤダな…オレ…
そーゆーの…
…
なんか…ヤダな…」



オジサンが私から離れた



オジサンきっと呆れてる

どこまでも子供な私に



だけど

子供でも傷付く



好きな人に

私はまた相手にされない



あの時と同じ



また選ばれないんだ

また離れてく



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