隠り世の万屋さん
やはり田舎ということもあって
少しボロかった。


美琴はキョロキョロしながら踏み入る。


それをみた魅寿々は笑いながら
万屋に入っていく。


「そんなに緊張しなくても何もないよw」


「別に緊張してるんじゃなくて…」


「あっそういえば…」


魅寿々は美琴の言葉を遮りながら一度外に出る。


外には二人を乗せてきた2匹の狗。


「紹介し忘れていたな」


魅寿々はくるりと美琴の方へ向く。


「琥珀、黒弥、元に戻って良いよ」


ポンッと2匹は煙に包まれる。


そして煙が消えたときには人が居た。


お互い狩衣を着ており、
黒い狗は黒い狩衣に白い袴。


白い狗は白の狩衣に黒い袴。


白い方は男で黒い方は女だった。


2人(2匹)の頭にはケモミミが生えていた。


「この2人はボクの…使い魔的な感じかな。
 2人とも狛犬なんだ。」


「はじめまして。私は黒弥(クロミ)。」


髪を背中ぐらいに伸ばしハーフ結びしている。

黒い狩衣を着ている。


「はじめまして!!俺は琥珀!!よろしくっ」


琥珀…。

どこに琥珀色の要素があるんだ。


「琥珀に琥珀色の要素はないけど
 気にしないでね。ボクが小さい頃につけた名
 だから…。琥珀色=白って考えてたんだ。」


(なんか心読まれた…?)


美琴は少し驚いた。

まさか今考えてたことを
ピタリと言い当てるなんて…。


「本当に隠世なんだ…」


実を言うと勘が鋭いだけの魅寿々。

それに気づくのはまぁ、すぐになるだろう。


「探偵様ぁぁぁぁぁ!!」


「ん?…どうしたの?」


「主様がお怒りになってしまったんです!!」


「…またか。うんわかった。
 君は来るかい?」


「え、あ、うん」


「琥珀、黒弥、もう一仕事だ」


「えぇ…」


「異論は聞かないよ〜それに黒弥。
 君は太ってきてるんだから運動しないと」


「ふ、太ってないもん!!」


「君着痩せするタイプだからねぇ」


二人の会話を聞いた美琴は少し驚いた。

魅寿々は黒弥を太っていると言うが
よく見てもスラリとした綺麗な体型なのだ。

顔も小顔でよく整っている。

着痩せするタイプだと言っても
そこまでに見えるだろうか?


「じゃあ子犬の姿になってみなよ?
 絶対丸々してるから」


「うぐッ」


「さぁいこうか。主様を待たせる
 わけにはいかないからね」


黒弥を論破し、魅寿々はすぐに
黒弥に乗っかった。


「じゃあ先にいってるね」


ヒュンっ…。


(え?いや早いにも程がある。)


「彼奴動けるデブだから。実質彼奴の方が
 足速いよ」



琥珀はそう言って先ほどの大きな狗になった。



「さ、しっかり捕まってね。
 振り落とされないように。」
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