転生人魚姫はごはんが食べたい!
 平民という部分を気にしているのか。それとも私がした不用意な質問がいけなかったのかもしれない。不安そうに話すニナに私はきっぱりと告げた。

「旦那様のことは少し疑問に感じただけで、私はニナと一緒に出掛けたかったのよ。町のことは幼いころから港町で育ったニナが適任だと思っているわ。それに私、こうしてもう一度、友達と町を歩ける日が来るなんて夢みたいなの! だからニナが不安に思うことは何もありません」

「夢みたい、ですか? 私なんかが相手でも、ですか!?」

「そうよ。私にも色々と事情があってね」

 人魚に転生するっていう予想外のせいでね!

 重々しく告げるとニナは全力で役目を果たすことを約束してくれた。私も彼女ならばとニナの実力を信じている。

「さあさあ勉強の続きよ!」

 私が促すとニナは照れながらも続けてくれる。

「えっと……シレーネは港町なので、異国の人や商人たちのおかげで賑わって見えるんだと思います。いろんな国の文化が混ざり合っていますから」

「つまりいろんな国の食べ物も集まっているのね」

 結局私の発想は食べ物よりになってしまうけれど、ここでならいろんな国の料理が食べられるという解釈でいいのよね?

「そうですね。いろんな国の料理が食べられますよ」

 ニナは私の望んだ答えをくれた。

 私、本当に素晴らしい旦那様に見つけてもらえたのね。生まれ変わってこんなに素敵な旦那様に巡り会えるなんて!

「はあ……」

「奥様、お疲れですか?」

「失礼、誤解させてしまったわね。あちこちからいい香りがするなと思っていたのよ」

 ソースの香、油の香。肉汁に、油が跳ねる音。ここに美味しいものがあるよと手招きされているみたいだ。
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