結ばれる運命だから
22
俊樹と再会するまで
私は 何度も 海の夜を 思い出していた。
何度も。
テープなら 擦り切れてしまうくらい。
心の中で 再生していた。
ゆっくり話す 俊樹。
少し鼻にかかる ハスキーな声で。
『 はるか 』と呼ぶ。
いつの間にか 私の隣にいて。
自然に 肩を抱かれていた時間。
務のように 明るく騒がないけれど。
目が合うと ニコっと 笑ってくれた。
俊樹は 物静かで 落ち着いていた。
だから私は 安心できた。
ナンパされて 一緒にいるとは 思えないくらい。
出会ったばかりだとは 思えないくらい。