18歳で父になった。
「ごめん、俺には何もしてあげることできない」
さすがにむりだと思った俺はそう言って立ち去ろうとすると…。
「酷い!!!私を捨てるの!!!
私を騙したんだね!!」
と、そんなに大きい声あげなくていいだろうと思うくらい大声で叫んでうわーんと泣き出してしまった。
「ちょ、柚子」
当然こんな大声上げて泣かれれば、他のお客さんも店員さんも何事かとチラチラと俺達をみてくる。
最悪だ。
「おい、クソ女うっせーぞ」
俺がここは柚子を連れて立ち去るしかないと腕を掴むと同時に、聞き覚えのある声が振りかけられた。
「光司と太一?」
そう、声のした方を振り向くと、すごい顔をした光司と
困り眉の太一が立っていた。
「柚子ちゃん、流石に紫苑を頼るのはよくないと思うよ俺」
「そうだぞ、黙って聞いてりゃいい加減にしろよ」
多分ドン引きしている太一と
激おこの光司の言葉を受けても柚子はうわーんと泣く真似…なのか泣いているのかを止めない。
そもそも声が聞こえる場所に2人がいた事に俺は驚きなんだけども。
「お前もしこいつの同情かけるならせめて実家の方にしろよ。
子供と恋雪がいる方は絶対するな」
光司のそんな言葉に俺は頷く。
「とりあえず出よう。
柚子、ほら行くぞ」
とりあえずこの場にいたくなくて
光司と太一と共に柚子の腕を引いてお店を出た。