18歳で父になった。




この嘘だと思いたい状況に立ち尽くしていると、突然柚子の頬がパチンといい音を立てた。






「それ以上紫苑くんを傷つけないで。
どうしてそんなひどいことが言えるの…?」






そう、柚子の頬をビンタしたのは恋雪。


恋雪は両の眼から涙をボロボロと泣いている。






「紫苑くんは心が綺麗なの
だからそれ以上汚さないで…お願い」






恋雪の震える言葉を聞き、柚子はキッ顔を上げて恋雪を睨んだ後


くるりと踵を返してドアに向かって歩き出した。






「とりあえず自分の家に帰るから。
医者でい続けるって約束するなら離婚しなくてもいいよ。
じゃあ考えておいてね」






柚子はそう言い残して、パタンと光司の家から出ていってしまった。




取り残された俺達の間に沈黙が落ちる。






「あのクソ女許せねぇ。もう別れろ!」



「柚子を紹介したのは私だけど、別れた方がいいと思う…。ごめんね」



「紫苑くん、ひとまずゆっくり休もう?」






柚子葉ちゃんは太一くんがほかの部屋でずっと見ててくれてるから。と、恋雪が俺をベットに座らせる。




光司と真優ちゃんも相当怒っているのか
別れろ別れろ言ってるし。




今思い出しても、さっき言われた言葉の数々が消えていってくれずに心の奥深くに留まっている。




いままで俺がしてきたことは全部無駄だったのだろうか…?






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