My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 ――私は帽子と眼鏡、セリーンは特徴的な赤毛を隠し、ラグは今、彼の知るラグの姿ではない。果たして、グリスノートは私たちに気付くだろうか。

(というか、この3人の中にリディアンちゃんのお兄さんが……?)

「だから違うって言ったでしょ!」

 そのとき後から割り込んできたリディアンちゃんが私たちを庇うように間に入りグリスノートたちに向かって鋭く怒鳴った。

「兄貴が捜しているのは女性2人と男の子、あと凶暴な白いモンスターなんでしょ? どこにいるっていうの!」

 そして彼女は私たちの方を振り返ると申し訳なさそうに謝罪した。

「ごめんなさい、急に兄貴帰って来ちゃって。でも気にしないで、このまま部屋は使っていいから」

 だがそこまで言って、彼女の目が窓際に立つラグを捉えた。
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