My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5
「そう、だけど……」
「駄目だ」

 先ほどよりも強い口調で繰り返されて流石にむっとする。

「でも、このままじゃエルネストさんのことも何もわからないままだし……そりゃ、私の歌で認めてもらえるかどうかはわからないけど」
「そいつが心配しているのはそういうことじゃない」
「え?」

 そう言ったのはセリーンだ。彼女は私の隣に腰掛け続けた。

「グリスノートにセイレーンだとバレることを心配しているんだ」

 ラグの方を見ると、彼は小さく舌打ちをして床に腰を下ろした。

「でも、それだってこうして帽子を被っていれば」
「そうじゃない」

 なぜか苦笑するセリーンに首を傾げる。

「おそらくあの男、カノンを嫁にするつもりだったんだろう」
「……え!?」

 思わず大きな声が出てしまった。
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