My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

23.故郷を思う歌


「――で、そのカギになってる記号ってのはどこだ」

 色々諦めたらしいラグがベッドに腰掛けたセリーンの膝の上で例の書物を開き始めた。
 私はそれを背後から覗くようにして見る。

「最後のページだ」

 グリスノートが笑い過ぎて出てしまったらしい涙を拭いながら答える。……余程ツボだったのだろう。
 ラグが頬をピクピクさせながらも丁寧に最後のページを開く。
 そこには確かに手書きの楽譜と、短く“文字”が走り書きされていて。

(――!?)

 危うく、声が出てしまいそうになった。

「俺だってな、その記号が『歌』に関係するもんだってのはわかってんだ」

 グリスノートが被るように話し始めたお蔭で彼には気づかれずに済んだらしい。
 でもラグはそんな私の小さな反応を見逃さなかった。一瞬だけ目が合って、そんな中でもグリスノートの話は続いていた。

「その記号が出てくるときは大抵一緒に文字が書かれていてな、おそらくそれが『歌』の意味を表しているんだと思うんだが、それだけがどうしてもわからねぇ」

 と、セリーンが首を傾げた。

「どこの国の文字だ、これは」
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