My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

 そして、《消えた街レーネ》。
 これから、その地へ向かわなくてはならない。

 ……こんなとき、アルさんがいてくれたら。ふと、彼の屈託のない笑顔が浮かんだ。
 彼ならきっと、ルルデュールと戦ったあの時のようにラグを励まして支えてくれるはずだ。

 ――ラグを頼んだぜ。カノンちゃん。

 そんな彼の声がよみがえる。

(アルさん。私にアルさんの代わりがつとまるでしょうか……?)

 ベッドの中で寝がえりをうって、ラグの横顔をこっそりと見つめる。彼は目を閉じていたけれど、その眉間の皴を見てまだ眠れてはいないのだとわかった。

(代わりなんて無理かもしれないけど……)

 でも、これから向かう先で何があっても、絶対に、彼から離れてはいけないと思った。

< 250 / 280 >

この作品をシェア

pagetop