My Favorite Song ~異世界で伝説のセイレーンになりました!?~ 5

(“カシラ”って、じゃあこの人が海賊の親玉ってこと?)

 明るいところではっきりのその顔を見るのはこれが初めてだけれど、やはり同い年くらいに見えた。他の海賊たちの方がずっと年上に見えるのに。

 そしてもう一つ目を惹いたのは、その肩に留まった尾の長い綺麗な白い鳥。

「しかもこいつ、いきなり身体が縮みやがった!」
「だよな! 俺にもそう見えた!」

 海賊たちが一斉にラグを指差し騒ぎ出した。そのラグはナイフを手に今にも彼らに飛びかかりそうな怖い顔をしている。

「はぁ? 何言ってんだテメェら。んなことあるわけねぇだろ」

 昨夜の口調とは全く違う、柄の悪い話し方。

「すまない。この者たちは私の仲間なんだ」

 そう“頭”に謝罪したのはセリーンだった。

(なんで謝るの……?)

 と、“頭”が大して興味も無さそうに私を見た。

「あぁ、酔ってずっとぶっ倒れてた子だな」

 そう鼻で笑うように言われてカチンと来る。あなただって、そう言い返しそうになってあれは演技だったのだと思い出す。あのとき少しでも同情してしまった自分が馬鹿みたいだ。
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