俺がしあわせにします
「彼との時間が増えて、幸せなときが流れ出したら、自然と仕事もいい方向に進み出したの。そして、もう恋愛なんて懲りたと思ってたけど、わたしはその時間も温もりも手放せなくて、『彼に家庭を壊すつもりなんかないから、2番目でいいから、そばにいさせてください』ってお願いしたの。あの人は恋愛に臆病になって、本気になりたくないわたしの気持ちをすべて受け入れて、付き合ってくれた」


不倫するのも、好きな人に語られるとちょっと美談に聞こえるなんて、ほんとにマヒしてるなあ、俺。


「あの日倉科くんに言われるまで、誰かを無条件に傷つけてるなんて、考えもしなかったの。ほんとに、何にもわかってなくて。幸せすぎて、何にも見えてなかったんだと思う」


ほんとに幸せそうでしたよ。
あのときの和奏さんの笑顔は俺の脳裏にしっかりと焼き付いている。

俺が試合終了と勘違いした笑顔だ。
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