はやく俺のモノになればいいのに
「今、あの子の頭の中は谷崎で一杯だから。とにかく他のことを考える時間を作った方がいい。下手に相談に乗ると。余計に考えてしまう。そうすると、想いも膨らんでいく」


――――想いは、膨らむ。


「叶わないと思い知ったとき。それでも引き返せなくなっていたら。絶望する」


――――絶望


「男なんていくらでもいる。ましてやあの子は谷崎と知り合ったばかりで関係も薄い。諦めるならはやいうちがいい」

「先輩は、片想いは辛いものだと考えますか?」

「……"呪い"かな」

「え?」

「座ろうか」

「はい」


バス停に着いて、ベンチにかける。


「あの子が谷崎に見返りもなくすべてを捧げる覚悟があるなら。あとで青春を無駄にしたとか、別の男を好きになればよかったと悲観的にならないなら、いくらでもすればいい。本人が納得いくまで」


そう、だよね。


実柑本人が納得できることが、一番大事だ。
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