はやく俺のモノになればいいのに
ひょっとしてユキさんは――……


「隠さなくていいから」


それを直接言うために私を呼び出した?


一緒に帰ろうって待ち合わせしてくれた?


少し下校時刻から時間をずらしたのは、少しでもひと目を避けるため?


「モモ?」


だとしたら

やっぱり、あなたは優しい人だ。


繋いだ手があたたかいように

ユキさんは、心も、あたたかい。


「大丈夫でした!」
「本当に?」
「実柑が、私の代わりにロンパしてくれたんです」
「3年女子を論破か。やるね」


真剣な顔つきだったユキさんが、クスッと笑う。


「ですよね。ほんと、一体どうやったのか謎です」
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