はやく俺のモノになればいいのに


「調子に乗ってる……1年がいるから。ちょっと痛い目みさせてって」


…………!?


「バレー部の。先輩、から」


泉谷さんと私の間に重い空気が流れる。


「ほんとに……ごめんなさい。だけど。そうするしか……なかった」
「いいよ」


私の言葉に、うつむいていた泉谷さんが顔をあげる。


「いいよ。そうしなきゃ、あなたがヒドいことされたんだよね」
「……っ」


泉谷さんが、涙目になる。


「だけど。あなたの好きなスポーツで、人を傷つけるの。苦しいよね」
「……やりたく、なかった」


自分を守るのって大切だよ。

それでも、誰かをひどく傷つけていい理由にはならない。


断る勇気を出して欲しい。

私も出せなかった。


流されて、ラクな方に逃げていた。
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