はやく俺のモノになればいいのに


「聞いたよー。イチヤ、御幸先輩と勝負するんだって~?」
「うおよ。あの男のプライドは俺がズタズタにしてやる」
「やるとき教えてね。絶対見に行くから」


ユキさんたイチヤくんの試合すごく見てみたいし楽しみだけど、どっちも応援したい気持ちになってくる。

どっちかが負けるところ見たくない。


勝負には、文字どおり、勝敗がつきものだとわかっていても。


「それで。優勝の品は、モモからの口づけかな~?」


ドクン


「ンなもんいらねえよ。負けたら彼氏から降格させてやる」
「あはは。それはモモが全力で止めるよね」


プールサイドで、イチヤくんからされたことを思い出す。


「ねー、モモ」


どうして……おでこにキスなんて。


普段みたいに、からかっていたようには、見えなかった。


「モモ?」
「え……」
「モモは御幸先輩応援するよね。あたしはイチヤくん応援しよっと」
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