はやく俺のモノになればいいのに
――ドクン
「やめておいた方がいい……って」
大きく心臓が波打ち
鼓動が速まったのは
実柑から思いもしないことを言われて、動揺せずにはいられないから。
「なんか危ない感じがしたんだよね」
ユキさんが。
……危ない?
「実柑も、見たでしょ? 友達が水をかけてごめんって。ユキさんのせいじゃないのに、謝ってくれたよ」
「あの人も笑ってた」
「それは……」
たしかにユキさんも、私が水をかけられて笑った。
でも、バカにした感じじゃなくて。
あの笑顔に私は心を奪われた。
「からかわれてるんじゃない?」
――え?
「……どういう意味?」
「そのまんま」
からかわれている?
「モモの反応が――」
「ちがうよ!」
「……モモ」
「タオル、貸してくれた」
とっても優しく話しかけてくれた。
『ユキって呼んで』
少し、仲良くなれた。
『他人行儀』
友だち未満だけど
ただの後輩以上には、思ってくれている。