婚約者は野獣


“なんで”と思いかけて
エントランスで見かけたことを思い出した


猟奇的なる溺愛

うんうん、これがピッタリかも
一ノ組の若頭を思い浮かべて頷いた


「どうした、千色」


もちろんそんな挙動不審な私を見逃してはくれない永遠は


「んーっと、妄想をして、その答えまで導いたから?」


最早解読不能な私の返答にも


「そうか」


そう言って甘く微笑んだ


「永遠が別人みた〜い」


珍獣発見的な視線を向けて可愛く悶える堂本さんに


「Nightは益々残念な幹部ね」


鼻で笑ってキツイことを言う内田さんは


「どういう意味だ?」


低い声の堂本君にも動じないようで


「馬鹿な亜樹に骨抜きの永遠に
似非野郎の大和ね」


サラリと毒を吐いた


それをハハハと笑う堂本君はやっぱり内田さんのことが好きなようで


「優羽の為なら馬鹿で良い」


蕩けるような顔で笑った


クーーーーーーーーーっ
鼻血が出そうっっ


顔面偏差値高過ぎじゃない?
私なんて分厚いメガネにスッピン
引っ詰め髪なんですけどっっ


永遠の腕の中で
脳内絶叫をして呼吸を荒くした私を


「大丈夫か?」


堂本君バリの蕩ける顔で心配してくれるのはやっぱり永遠で


「・・・うん」


小さく頷いたのに


「「キャァァ、ラブラブ」」


可愛い声がまたハモった


「まるちぃ、馴れ初め教えてね」


「女子お泊まり会しなきゃね」


二人のマシンガントークはいつまでも終わらず


結局お昼休みが終わるまで
元“関わってはいけない”面々と
楽しい時間を過ごした




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