プリンセスストロベリーの憂鬱
「オレが責任を持って夏恵を看るから、安心して下さい」


夏恵の頬をそっと従姉は撫でると


「ごめんね。お母さんなのに何もできなくて」


小さく謝ると、オレに頭を下げて出て行った。


「お母さん帰った?」


夏恵が目を開けた。


「起きたのか?」

「これで良いよ。私さえいなかったらあの家は静かになる。熱下がったら出て行くから」


掠れた声は苦しそうに聞こえた。


「しばらくここにいろ。こっから学校も通って良いから」
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