幻惑
「翼君、私 仕事を探そうと思うの。」

私が言うと、翼は少し驚いた顔をして
 
「えーっ。どうして?」と聞く。
 
「昼間、時間があるし。そろそろ、貯金も無くなってきたから。」

お金のことは、言いたくなかったけれど。

でも二人のことだから。

きちんと話した方がいいと、私は思った。
 
「結花里、毎月、どのくらい足りない?俺が何とかするよ。」

翼は、私が仕事をすることを最初から、嫌だと言っていた。

私は軽く首を振り
 
「二人の生活だから。私も協力したいの。」と答えた。

翼は黙って、考え込む。

何とかすると言って、何とかなるものじゃない。

そのくらい、私もわかるから。
 
「2、3万円なら、生活費に使えるよ。それじゃ足りない?」

翼は言った。
 
「翼君のお小遣い、無くなっちゃうでしょう。」

私が言うと
 
「いらないよ。結花里がお弁当、作ってくれるし。ビールだって買っておいてくれるから。お金、使わないもん。」

と翼は笑う。

「休みに、お出かけもしたいし。」


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