白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

 俺の前でこれ以上泣かないように
 唇をギュッとかみしめながら
 必死に涙をこらえている小百合。


 4年前。

 何も考えずに俺が放った言葉が
 こんなにも
 小百合を苦しめていたなんて。



 俺が刺した傷跡を
 ふさいであげたいけど、
 陳腐な言葉しか出てこない。


「小百合のことは、もう
 女にしか見えないから」


 ダメだ。
 そんな安っぽい言葉。


 小百合の傷に貼る
 絆創膏にもならねえ。

< 223 / 337 >

この作品をシェア

pagetop