白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「桃ちゃん、
 このベッドに座って外を見て。

 龍牙さん、今
 頑張っているところだから」



「え?」


 言われた通りベッドに腰かけ
 窓の外を覗く。


 さっきまで私たちがお花見をしていた
 レジャーシートの上に
 並んで座る龍兄と小百合さん。


 私たちに背を向けているから
 どんな表情をしているのか
 全く分からない。



「さすがに……
 龍兄たちをのぞき見するのは……」


「桃ちゃん、これは作戦だからね」


「え?」


「だって龍牙さん。
 このままだと
 姉さんに自分の思いを伝えないまま
 帰っちゃうよ」


「そうかなぁ」


「そうなの。
 龍牙さんなら、絶対にそうだから。

 どこかで俺とか母さんたちに
 見られてるかもって思ったら、
 龍牙さんは絶対に
 姉さんに告るとかしないから」



「それでなんで?
 あえて覗く作戦なんですか?」


「龍牙さんにはね
 秘密の場所があんだけど
 知ってる?」


「へ?」
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