白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集
「奈津子さん、ありがとうございました」
「虎くん、また来るね」
「お待ちしてます」
美人なお客さんに見せた
虎ちゃんの笑顔。
あ~。
さすが私、限界かも。
虎ちゃんは笑っている子が好きで。
泣いている子が大嫌い。
だから今まで、
ちょっとキツイなってことを言われても
笑い続けてきたけど。
ダメだ。
笑い続けられない。
涙が……
こらえきれない……
瞳にたまった涙が
悲しみとともに一気にあふれ出した。