白雪姫に極甘な毒リンゴを 短編集

「十環先輩、
 この部屋で
 一番好きな場所ってどこですか?」


「う~ん。
 一番はこの机の前かな。

 椅子に座って
 桃ちゃんの写真を眺めてるだけで
 あっという間に時間が過ぎちゃうし」


「じゃあ、机の前に座って下さい」


「今?」


「はい」


 十環先輩は
 目をパチパチさせながら
 椅子に座ってくれた。



 そして私は
 椅子に座る十環先輩の後ろに立ち
 優しく包み込むように
 後ろから抱きしめた。



「桃ちゃん?」


「十環先輩がこの部屋にいる時に。
 もっともっと私のことを
 思い出してくれるように」



 十環先輩が私の方に
 顔を向けたと同時に

 私は十環先輩の唇に
 自分の唇をそっと重ねた。




 十環先輩とのキスは

 幸せすぎて
 脳がとろけそうになる。


 体の力がするすると奪われ
 立っていられなくなる。


 この幸福感を
 いつまでも感じていたいと願ってしまう。


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