触れたい、できない



「ねーねー、君何センチあるの?」



「一緒にバレー部入んねえ?」



……隣でにぎわう男子の塊。



その中心にはメガネをかけた男子。



_私ははぁ…とため息をついた。



別に初日から席替えがあって、窓際から離れちゃったのはまだいいんだよ?



_でも



でもでもでもでも……!!







「これは無くない?!?」



バンッと私は机を叩いた。



真横の席には、さっきの自己紹介で横にいた男子。



そう…



…………とっても身長がお高いメガネ男子。




「神様は不公平だよ!!!」



私は机につっぷす。



「…席に文句言ってんの?自分の身長に文句言ってんの?」



「どっちもだわ!!!」



私がハンカチを噛む横で、おしるこジュースを飲んでいるこの男。



こいつは、皐月原 蓮(さつきばら れん)。



蓮とは幼なじみ兼、中学からここに進学した数少ない友達だ。



そして蓮も水泳部。そのせいか、肌は綺麗に焼けてこの季節でも見事に茶色だ。



まあ、爽やかな名前にあったスポーツ少年ってやつ。



「……にしても」



私はつっぷした顔をあげてジト…と蓮の手元を見る。



「おしるこは…ないわ……」


< 3 / 53 >

この作品をシェア

pagetop