触れたい、できない


「はい、1限のホームルームを始めます」



10分休憩の後、始まった高校初の授業。



そして横にはとても背のお高いお方。



見る度、憂鬱になってくる…



「まずは学級委員を決めたいと思います。誰か立候補はいませんか?」



_シーン



10分休憩とは打って変わって静まり返る教室。



…うわぁ、これなかなか決まんないやつだ



担任の跡先生は少し困ったように誰かいませんか?と、もう一度声をかける。



…んんん……高校に入ってからはやらないって決めてたんだけどな



「誰もいないなら、私やります」



困った跡先生の顔を見て、つい手を挙げてしまった私。



ああーもう…こんなんだから毎年やっちゃうんだよ…



「あら本当?助かるわ、ありがとう金光さん」



優しく笑いかけてくれる先生。



…まあ、困ってたんだからしょうがないよね



「紺お前…今年はやんねえって言ってなかったか?」



前の席の蓮が振り向き、呆れたように見てくる。



「だって…困ってたし……」



私が視線を逸らしてもごもご口をこもらせると、蓮はため息をついた。



「……ほんとしゃーねぇな」



そして片手を上げようとしたその瞬間_



「俺、もう1人は万屋がいいと思う〜」



突然、誰かが1人の名前を上げた。


< 5 / 53 >

この作品をシェア

pagetop