桜舞う下で、君に誓いを~恋した神様~
「……どうしてだろうね?」

ニコニコ笑いながら、レイストは私に向かって黒い塊を放った。私は、攻撃魔法の一つである炎の塊を黒い塊にぶつけて、レイストの攻撃をその場で爆発させる。

「……へぇ、考えたね……攻撃魔法を防御代わりにしたのか。楽しみになってきた!」

「………ほのか!!」

誰かの声が後ろからした。振り向くと、庚と葵が私を見ている。

「ほのかを待ってたら、すごい音が聞こえたから、庚と急いで来てみたんだけど……」

「にしては、早かったね?まだ1分も経ってないよ?」

「この部屋の近くで待ってたからね。葵がうるさかったから……でも、すごい音なんて僕には聞こえなかったけど……」

「そ、それは……きっと私にだけ聞こえたのさ!ほのかのSOSがすごい音となって!」

庚は葵の言葉に苦笑した後、レイストを見た。葵は、戸惑ったような心配そうな表情を、少しの間だけ見せたような気がする。

「……とりあえず、今日のところはこれくらいで許してやるよ」

「ちょっと待って!」

消えていくレイストに向かって、私は走り始めたけど、たどり着く前にレイストの姿は完全に消えていった。

「……あ、消えちゃった……なぜあなたは、こんなことを……それがあなたの望み?違うよね……?」
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