桃の華〜溺愛イケメン社長〜
「おばあちゃん、私嫌だよ」

「だったらおばあちゃんも華のお付き合いしている人と合わないよ」

さっきまで旅行にいけると喜んでいたのに。

どうしておじいちゃんの言っていた事を忘れていたんだろう。
でも、覚えていたとしても私は桃田さんを選んでいたと思う。

夕飯の時も、翌朝もこの話をしようとしたら、おばあちゃんに交わされた。

私は仕方なくバイトの前に桃田さんにメッセージを送り、今日はおばあちゃんが忙しくて無理だと伝えた。

優しい桃田さんはおばあちゃんの時間ある時に改めてって言ってくれたけど。

自然と大きなため息が漏れてしまう。

「どうしたの?ため息なんかついて」

「何でもないです」

私のため息に気付いたキムラ君が聞いてきてくれたけど、相談もしづらいな。

「昨日の彼氏と喧嘩でもした?」

「いえ、喧嘩なんてとんでもない」

桃田さんは優しいし、喧嘩なんて想像もつかない。

だけど、婚約者の話は桃田さんには話づらい。
話して面倒臭いって思われちゃうかもしれないし、嫌われたくもないよ。

とりあえず、おばあちゃんを説得して週末は断ろう。

おばあちゃんは会ってみろって言っていたけど、会うのはすごく桃田さんに悪いよね。


バイトが終わりお店を出ると、桃田さんが待ってくれていた。

「お疲れさま、送っていくよ」

本当なら桃田さんに会えて嬉しいはずなのに、今日は複雑な気持ちだよ。

「元気ないね?何かあった?」

「何もないです。大丈夫です」

車に乗ると桃田さんに聞いてこられたけど、すぐ顔に出てしまう私はちゃんと誤魔化せただろうか。

桃田さんの優しさに甘えたい思いはあるけど、話してしまえばどう思われるか考えてしまう。

私だったら、もし桃田さんに婚約者がいたら絶対に嫌だし、いい気分はしない。


「そう?何かあったら話してね」

桃田さんは本当に優しい。
やっぱり私は桃田さんじゃなきゃ嫌だ。

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