強引な彼と恋のマジックドライビング
『結婚』しか口にしない柚月に私もさすがにイラついてくる。

「…女心がわからない強引な男なんて好きにならないし絶対に結婚なんてできませんっ!」

口からでたのはいつもの素直じゃない心にもない台詞。

車はすぐに国道沿いのホテルの駐車場に止められて、不意に伸びた手が私の頬を摘まむ。

「嘘つけ!
とっくにもう俺のこと好きだろ?」

ニヤニヤする柚月は、頬から手を滑らせて顎を掴み端整な顔を近づけた。

「俺のこと好きだろ?
素直に認めないとキスしてやんない」

その距離わずか数センチ。

今にも触れそうな距離で意地悪く笑う。

柚月とキスをしたのはあの晩だけの一度きり。

目の前の甘い男にくらくらきゅんきゅんしている自分がいて、見透かされてる気持ちを隠したくて睨みながら

「柚月こそキスしたかったら結婚ばかり迫らないで、素直に私を好きだっていえば!
私一度も柚月に言われてないから」

「ふっ朝陽、可愛い…」

目を細めて頬を緩めた柚月は、すはやく唇を重ね

「好きだよ、朝陽。
ずっと前から朝陽が好きだ」

耳元で囁くように告げると深く口づけ

「朝陽、好きだよ。
好きだよ、朝陽」

何度もキスを繰り返しながら何度も気持ちを口にする。

息がしたいに上がる私は、まだ肝心なひとことを口にはしてあげていない。

「素直じゃないな、朝陽は」

何度目かのキスのあとに顔を離した柚月は、私の頭を乱暴に撫で回して車から私を下ろしてホテルの部屋に連れ込んだ。

扉を閉めるなり、靴をはいたままきつく抱きしめ再び近づいた顔は、噛みつくような余裕のないキスを繰り返して、滑り込んだ舌は激しく口内を貪り始めた。
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