桜田課長の秘密
「まさかこれを着ろ、なんて言いませんよね」

「言いますよ」

「理由は？」

「主人公、カナコのイメージです」

処女に純白のワンピースを着せる感性は、ちょっと怖い。
ロリ……いや、性的嗜好を感じるけど、これも仕事なら仕方がない。

しぶしぶ受け取ると、彼は鍵を一本取り出した。

「買い出しや取材をお願いすることもあるので、この家の鍵もお渡しします」

「いいんですか？」

「君を信用していますので」

どんなに嫌な相手でも『信用している』と言われて、悪い気はしないものだ。

「それから抱えている連載の締め切り。編集者や連絡先などを纏めたリストです」

処女は奪わないから体を触らせろ。
なんて言われたけど、しっかりと助手らしい仕事をさせて貰えるんだ。

それが分かって、少しだけホッとした。

< 63 / 90 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop