幼なじみの彼とわたし
次の日の夜、千尋から電話が入る。


「ちょっと何してんのよ!!」


こっちが「もしもし」という前に耳に入ってきた声がこれだ。
何って…。
俺に言ってるんだよな…?
全然ピンとこないんだけど。


「…千尋?」

「失恋したって、亜衣紗」

「あぁ。昨日も言ってた。好きな人いたんだな」

「そりゃもう今度26になるのよ。恋ぐらいするわよ」


千尋の声から怒りがビシビシと伝わってくる。
ソファに座ったまま両膝に両腕をのせて前傾姿勢になっていたが、後ろに体重をかけどっぷりもたれかかる。


「そうだよな」

「てかさ、そろそろ行動にうつすなり気持ち伝えるなり、何かしら行動起こしたらどうなの?」


そうしたいのはやまやまだ。
でも、今の関係も俺には居心地がいいんだよな。


「…気まずくなるのが怖いんだよ。それなら今のままでも…」

「ちっちゃい男!!」

「……」


喋り終わる前に一喝される。
そんなの自分でもわかってるよ。


「自分は今まで告白してくる女の子をバッサバッサふっておいて、自分はその勇気がないって?」


バッサバッサって。
丁重にお断りしてきたつもりだけど。
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