幼なじみの彼とわたし
食べ終わるといずみんは、「邪魔してごめんね」、とバタバタと帰っていった。
森田さんと大したこともなくて、こちらこそごめんね、という気分だ。


遥ちゃんは、いつも通りもう少し休憩してから帰るとのことでまた二人になる。


「いずみん、わざわざここに聞きに来るほど気にしてくれてたのかなぁ、森田さんのこと。何もなかったから申し訳なかったな」


コーヒーを二つ持ってリビングに行き、ソファに座っている遥ちゃんにひとつ渡し、ひとつは手元に持ったまま近くのラグの上に座った。


「亜衣は何か期待していったの?」


いつもとは少し違う真剣な表情の遥ちゃん。


「え?期待って?ないないないない。誘われて断れなかったから麻ちゃんに来てもらって行っただけだよ」

「…そっか」

「何かされた?」

「何かって?」


遥ちゃんの指す“何か”が何かがわからない。


「口説かれたりとか触られたりとか…」

「ないないないない…」


手を左右にブンブン振って否定する。
ただただイタリアン食べながら話をしただけだ。


遥ちゃんはコーヒーカップを手に取り、中のコーヒーをのぞいているようだ。
そして遥ちゃんは言った。


「次誘われたら今度は俺も行くから言って?」


え?
遥ちゃんも行くの?


「遥ちゃんが?」

「うん、何か問題ある?」


断れる雰囲気ではないことはなんとなく感じた。


「ううん、問題ない。でももう誘われないと思うよ」

「ふーん」


遥ちゃんは少し笑ってまたテレビを見始めた。

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