お前が好きだなんて俺はバカだな
美礼先輩は、

「分からない。」

とだけ言った。

なんでそんなに曖昧なの?

先輩らしくないな。

「分からないって、どういうこと?」

イツキがすかさず訊き返す。

「気になるけど、今は、そういう気持ちがどうかは自分でも分からないってこと。」

先輩は、はっきりとそう言った。

まあ、でも、そうだよな。

私のことなんて、別の意味で気になってるのかもしれないし。

「へえ、美礼さんでも分からないってことあるんだ。
もしかして、恋愛とかしたことないの?」

ヒガシの言葉に臆することもなく先輩は頷いた。

「女なんてただの生き物だと思ってたから。」

そ、それはどういう意味なんだ...?

なんかそれは、失礼じゃないか...?

「へえ、じゃあ、姉ちゃんは特別、女として意識してる部分はあるんじゃない?」

なんだその質問。

もうやめてくれないかな...。

それで意識してるとか実際言われちゃったら...。

わたし、これからどうやって先輩と接すればいいの??

「否定はしないけど、それとこれとはまた別の話だろ。」

ど、どういう意味...?

先輩はまるで開き直っているような感じだった。

「別の話って??」

「さあね...、美礼さんって何考えてるか分かんないや。」

「俺自身も分かんないよ。」

先輩は苦笑しているようだ。

そんな流れでこの話は一旦幕引きしたようだった。

ああ、なんかドキドキした...。

結局は、私の思い込みだったようだ。

たぶん、そうだ。
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