お前が好きだなんて俺はバカだな
「そういえば美礼さんには夢ないの?」

「夢?そうだな...。職種とか決めてないけど、明るい家庭を持ちたいかな。」

「えー?なんか安直だな。もっと僕みたいにビックな夢にしなよ。」

「イツキの夢も定番っていえばそうだと思うけど...。

明るい家庭っていえば、築けそうな人がこの家に1人いると思うんだけどな。美礼さんには分かるでしょ。」

「え?」

「とぼけちゃって...、好きなんでしょ、姉ちゃんのこと。」

!!?

「マジ??
美礼さんって姉ちゃんのこと好きなの?」

「いやいやイツキ、別にまだそうとは言ってないから。」

「まだってことはこれから言うんでしょ。
こういうのも宿題と同じで、後に長引かせると面倒なことになるよ?」

美礼先輩が押されてる...。

でも、まさか先輩がそんなこと...。

「ねえねえ、姉ちゃんのどこがいいの?」

「だからそう言ったわけじゃないって...。」

「でも好きなんだろ?
だから、弟から距離を詰めようとしたわけだ。姉ちゃん案外疎いところあるからね。」

そういえば、ヒガシって、こういう話題好きなんだっけ。

でもあるわけない。

だって、今までの仕打ち(?)を考えてみればそうじゃん。

なんで私に冷たくする必要があるわけ?

他の子にはめっちゃ優しいで評判なのに。

「普段姉ちゃんには冷たいらしいけど、それも策略なんじゃないの?」

「え、姉ちゃんには冷たいの!?
というかなんで策略なの??」

「...。」

「イツキも経験ない?
好きな女の子ほど冷たくあたっちゃうってこと。」

「あー、あるある。」

いや、あるんかい。

というかイツキも好きな子いるんだ。

「女の子って冷たくされるほど、気になっちゃうものだもんね。姉ちゃん見事に引っかかってたよ。」

なんかこっちが恥ずかしいんですけど!

でも、でも、

そういうものなの...?

「あ、そういえば、昨日から姉ちゃん様子がおかしかったけど、既に何かしたわけじゃないよね?」

!!!

さっきから先輩が黙ってるけど、
大丈夫だろうか。

こちらからは背を向けてるからどんな顔してるかは分からない。

代わりに、今は先輩みたいな意地悪な顔のヒガシが見える。

なんなんだろうこの状況...。

「僕応援するよ!付き合っちゃいなよ!」

やばい、イツキが本気なんだけど。

先輩も先輩でなんで...。

「否定するなら否定すればいいのに。」

ヒガシの言う通りだ。

なんで否定しないの?

いつもみたいに、
こんな奴のことなんか、好きなわけないだろ
とか言えばいいのに。
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