カッコウ
土曜日、みどりは紗江子と待ち合せる。

みどりよりも優秀な紗江子は、都内の大学に通っている。

紗江子の彼の健二は、大学の2年先輩で今は銀行に就職していた。
 
「佐山君っていう人なんだけど。背が高くて顔はまあまあ。でもおしゃれで雰囲気はいいよ。」

4年になって、自宅から通学している紗江子。地元の駅で待ち合せて、一緒に都心へ向かう。
 
「私のこと、なんて話したの?」

気の置けない友人だから。みどりが聞くと
 
「誰か友達、紹介してって言われて。写真見て佐山君、みどりを選んだの。」

と紗江子も正直に答える。
 
「えー。どの写真?」

佐山がみどりを選んだと言う言葉に少しときめく。

紗江子は携帯を開いて、
 
「これこれ。みどり、可愛く写っているでしょう。」

と写真を見せた。

夏休みに高校時代の仲間と食事をした時の写真。確かにみどりは良く撮れている。
 
「写真と違うって言われないかな?」

みどりが聞くと紗江子は笑いながら、
 
「大丈夫だよ。みどり美人だから。」と言った。

誰とも付き合おうとしないみどりを、心配していた紗江子。

みどりが会う気になったことを喜んでいた。
 
「佐山君、健二とは同期の中でも気が合うみたい。支店は違うけどよく会っているの。みどりと佐山君が付き合えば、4人で出かけられるね。」

紗江子は屈託なく笑う。みどりと茂樹のことを知らないから。
 

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