カッコウ
名古屋では独身寮に入る孝明。

簡単な着替えと身の周りの物だけを持って、名古屋に向かった。

みどりが出産を終えて落ち着いてから、今の社宅を引き払い名古屋で一緒に暮らすつもりだった。
 

大翔を抱いて、孝明を見送るみどりは心細さに涙汲んで見送った。
 
「泣くなよ。来週末には帰ってくるから。」

孝明はみどりに言う。
 
「だって。今日からずっと、ヒロ君と二人だと思うと寂しくて。」

俯いて言うみどり。
「平日は、実家に帰っていていいよ。その方が俺も安心だから。」

と孝明は優しく言ってみどりと大翔に手を振った。
 
孝明の胸は複雑な思いだった。

みどりや大翔と離れる寂しさ。

みどりの体調の心配。新しい職場への不安。

でも一番大きく心を占めていたのは解放感だった。
 


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