からふる。~第10話~
「さあやはさ、紫雄のこと好きなわけ?」


「だからそれは違う。お友達だよ」


「キスフレってやつ?」


「そんなんじゃない。しゅうくんは優しいから私を全部受け入れてくれるんだ。それが嬉しくてつい甘えちゃう」



...って、私なんてことを。


黒羽くんに言うようなことじゃないよ。


は、恥ずかしい...。



「やっぱ好きじゃん、紫雄のこと」


「しゅうくんに失礼だよ。私なんかが好きになったら可哀想」


「私なんかって、さあやは犯罪者か?」


「いや、違うけど」


「なら、私なんかなんて言うなよ。さあやは可愛いし、美人だし、面白い。自分に自信を持て。このおれをキスさせたくなる魅力的な女だ」


「い、意味不明なんですけど!」



近くにあったお菓子の袋を投げつける。



「それ、照れ隠しか。可愛いじゃん」



可愛い可愛い言わないで。


私は口を尖らせそっぽを向いた。


しかし、次の瞬間には黒羽くんの両手で頬をサンドされて顔を真正面に向きなおされていた。


そして微笑む。



「あのさ、話聞かせてくんね?単刀直入に言うと、おれさあやのことちょー気になんの。な?いいよな?」



困ったなぁ。


でもいずれ知られるか。


黒羽くんとはあと2年半一緒の予定だし。



「分かった。話すよ、私の過去」


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